「4対0」でもイニエスタの猛追撃「柏ー神戸」PHOTOギャラリー「ピッチの焦点」の画像
アンドレス・イニエスタ選手(ヴィッセル神戸) 撮影:渡辺浩樹(SONY α9 使用)
全ての写真を見る

 前半だけで観るをのやめてしまった人もいるかもしれない。

 あるいは、SNSでサッカーの試合経緯を見るファンも昨今は多いだろうが、前半の文字情報だけで、勝敗を判断した人も多かっただろう。

  たとえば、Jリーグの公式ツイッターが「柏レイソルヴィッセル神戸」の速報として告げたのは、20分オルンガ、39分江坂任、44分オルンガ、という、前半だけで柏が記録した3つのゴールだった。

 その数字は、52分にさらに江坂のゴールが重なって、4−0となった。

 雨中の柏のホームゲーム、アウェイの神戸は4点のビハインドの前に、絶望の淵にあっただろうか。

 そんなことはなかった。神戸にはイニエスタがいたからだ。

 バルセロナ、そしてスペイン代表の中軸として活躍を重ねてきた男は、この数試合、まさに異次元ともいうべきプレイを見せ続けている。

 この試合でも43分、柏のペナルティボックス右角から侵入を図ったイニエスタは、相手DF2人を背負った形になる。

 さすがに突破は無理か、と思わせた次の瞬間、DF2人の間をヒールパスで抜いて、見方のチャンスへと繋いだのだ。

 60分に、神戸の反撃の狼煙となったのも、イニエスタのパスからだった。中央でボールを受けると、あくまで簡単に右に出す。するとそこには魔法のように西大伍が現れて中央に折り返し、田中順也のゴールが生まれた。

 75分にも、左サイドで突っ立ったような形でボールを受けたイニエスタは、これ以上ないほどの軽いパスをスペースに出す。そして、そこに走り込んだ酒井高徳のクロスを、またも田中が押し込んだ。

 これで4−2。そして、87分にはイニエスタ自身がPKを決めて、4−3。

 一体どうなるのか、という関心を最後まで保たせたのは、5月11日で36歳になった男のプレーだった。

 結局、試合は4−3のまま終了したが、前半で観るのを止めた人がいたとしたら、驚き、大いに後悔したのではないだろうか。

 雨中でも、間違いなくイニエスタは輝きを放っていた。
 

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る