■名人芸だったアラン・ジレスのシュート練習

 だが、得点の確率を上げるためにはシュートの技術が必要だ。相手のDFに当たらず、GKに防がれることのないコースに正確にボールを飛ばすための技術と意識である。

 昔、フランスにミシェル・プラティニと同世代のアラン・ジレスという名手がいた。小柄なテクニシャンである。

 ある試合で、たまたまゴール裏の席でフランス代表の試合を観戦する機会があった。そして、試合前のシュート練習を見ていると、このジレスが1本1本のシュートを様々な種類のキックで、様々なコースに蹴り分けているのを見た。アウトにかけたり、インにかけたりして、いろいろなカーブのかかったボールを、ポストぎりぎりのコースに蹴っていたのだ。

 試合前のアップの時のシュートなど、力いっぱいゴールの中央に蹴り込んで終わりという選手も多い。「アップ」としてはそれでもいいのだろうし、豪快にシュートを叩き込むことで気持ちも上がるのかもしれない。

 だが、実戦の中でそんなシュートが決まる場面というのはそんなにない。シュートというのは、練習の時からしっかりとコースや球種を意識して蹴り分けておくべきだろう。

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