日本平に悪魔が降臨したのか――。
J1第18節の清水―浦和戦、恐怖のゴールが生まれた。スコアレスで迎えた22分のこと。浦和が得た右コーナーキックで、FW武藤雄樹が、セットプレーでの得点のために右足でボールをゴール前に送り込んだ。
鋭いボールは清水ディフェンダーの頭に当たり、ペナルティエリアの外へと転がってゆく。DF岩波拓也がボールを拾おうと寄っていったものの、DF山中亮輔の姿が視野に入るやボールから離れた。この時、すでに山中には“悪魔”が降臨していたのかもしれない。
山中はボールが破裂せんばかりの強さで左足を叩きつけると、次の瞬間にはボールがゴールの中にあったのだ。正確には、ボールは凄まじい勢いでゴールバーに当たると、さらに凄まじい勢いで地面に向かって落ちていったのだ。まるで、悪魔が乗り移ったかのような勢いだ。
このコーナーキックの直前、山中は清水陣内中央からのフリーキックでは、フワっとしたボールで味方に合わせようとしていたから、弾丸ミドルの勢いは余計に強烈に見えた。
浦和は、山中のゴールを含む2ゴールを挙げて、2-1で勝利。その左足には、悪魔と共に勝利の女神も宿っているのかもしれない。