■夏の甲子園も陸上も、同じころに全国大会が始まった

 そんな騒然とした時代にサッカーの全日本選手権は始まったのだ。

 いや、100年前に始まった大会はサッカーの全日本選手権だけではない。

 たとえば、今年の12月から2021年の1月にかけて開催されるはずの全国高等学校サッカー選手権大会は第99回大会である。第1回大会が「日本フートボール大会」として大阪の豊中で開かれたのが1918年のことだった(天皇杯と違って、中止になった大会は回数に含まれていない)。

「フートボール大会」はア式(サッカー)とラ式(ラグビー)が同時に開催された。そして、毎年大阪の花園で開かれている全国高等学校ラグビーフットボール大会の方は、今年の12月に開かれる大会がちょうど第100回大会ということになる(中止になった回数が違うので、ア式=サッカーの大会とは通算回数がズレている)。

 さらに、日本陸上競技選手権大会はより歴史が古く、1913年に第1回大会が開催されており、今年の10月に予定されている大会が第104回ということになる。また、1915年に「全国中学校優勝野球大会」として始まった全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)は今年は中止となってしまったが、今年の大会で102回目となるはずだった。

 天皇杯だけでなく、日本のメジャーなスポーツ大会の多くが100回前後の回数を重ねているのだ。つまり、1910年代から1920年代初めこそが日本スポーツの歴史が幕を開けた時代だったということになる。

 戦前の日本で最も人気の高かった東京六大学野球連盟が発足したのは、少しばかり遅れて1925年のことだが、その前身となる早慶明による三大学連盟が始まったのは1914年だ。

※その2へ続く

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