■Jクラブは4チームのみの「狭き門」

 別の言い方をすれば「日本には3部リーグが3つ存在する」と言ってもいい。つまり、J3リーグ、JFL、そして関東大学リーグである。そうした異なったカテゴリーのチームの実力を比較することも天皇杯という大会の面白さだ。

 ところが、今年度の天皇杯は新型コロナウイルスの感染拡大のために変則的な大会となってしまった。

 約4か月もの長い中断があったJリーグの日程消化を優先させるため、Jリーグ所属チームは参加しないまま5回戦(ラウンド16)までを行い、J2とJ3の優勝チームは準々決勝から、そしてJ1の優勝チームと準優勝チームは準決勝からの参加となるのだ。つまり、J1の3位以下およびJ2、J3の2位以下のチームはまったく参加しない。

 そうなると、JFLや大学リーグのチームが準々決勝に進出したとしても「ジャイアントキリング」とは呼べないわけだ。逆に、地域リーグや地方大学のチームがJFL勢や関東、関西の大学を破れば、それこそが「ジャイキリ」なのだろうが、スケール感が小さくて一般のサッカー・ファンからは縁遠い世界の話になってしまう。

 いずれにしても、2020年度の天皇杯は本来あるべき姿とはかけ離れた形の大会となってしまった。本当なら、今年度は「第100回」の記念大会として大いに盛り上がるはずだったのに……。

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