■追い詰められた高木琢也監督

 17年の大分トリニータのように、勝ち切る試合を増やして引分けを減らせば、負け数が多くても勝点は伸ばせる。それにしても、限度はある。17年は昇格ラインがやや下がったため、「12」の負け数が挽回できる範囲内だった、と考えることもできる。普通に考えれば、負け数はひとケタに抑えたい。

 18年は5位、19年は3位でJ1昇格プレーオフに進出した大宮は、今シーズンも昇格候補にあげられていた。昨シーズンまでの堅守を土台に攻撃力をアップさせることで、J1昇格を引き寄せるはずだった。しかし、ここまで複数得点がわずか3試合、無得点試合が「6」で、総得点は1試合1点に満たない「16」にとどまっている。

 8月29日の長崎戦でデビューした新加入のイバは、17節のファジアーノ岡山戦で初ゴールをマークした。しかし、その後は得点機に恵まれず、前節のモンテディオ山形戦と今節では、シュート1本に終わっている。J2で4シーズン連続2ケタ得点をマークしている彼に、得意の左足を振り抜く機会をなかなか提供できていない事実が、停滞感に包まれるチームの現状を表わしている。

 試合内容が著しく悪いわけではない。ただ、勝ち切れていないチームが陥りがちな傾向として、思い切ったプレーが見られない。不要なミスを避けたいとのメンタルが後ろに重たい戦いを招き、主導権を握られる展開を呼んでいる。

 福岡に敗れた大宮は、シーズン8敗目となった。J2リーグはまだ折り返し点の手前だが、高木琢也監督のチームはかなり追い詰められている。

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