前川が動かないため、神戸は控えGKがアップを始めた。その間、前川には治療が施される。頭部ということで、その場から動かすことができない。スタジアムは異様な空気となった。
時間をかけた治療のあと、前川は立ち上がって再びプレーに復帰する。頭部に大きな包帯をグルグル巻きにし、左目は痛々しく腫れている。それでもピッチに立ったのは、出場と勝利への強い気持ちだったはずだ。
試合はというと、数的有利を生かせず神戸が敗戦する。前川も90分間出場したが、奮闘が実らなかった。救いは、前川が再びプレーできる状態だったことだ。神戸はこれで6戦未勝利となったが、それ以上に後味の悪い試合となってしまった。