また、左右に揺さぶろうと川崎が試みるものの、最終ラインに5枚もいると守備のスライドは最低限で済むので、欲する局面は生まれにくい。しかも、その際のパスもたびたび引っかかる。

 そのため、5-4ラインを崩すために川崎は前に人数をかけるが、そうすると当然、センターバック2枚しか後方にいない2バック状態となる。広島はカウンターとしてそこを攻め手として、川崎のゴールを何度か脅かした。シュートこそ1本だが、スタジアムにいる川崎サポーターにすれば、その数字が少ないと感じるほど、前半はヒヤッとしたのではないだろうか。

 5-4ラインでスペースを潰しながら人も見て、川崎を前がかりにさせたところを狙う。ハーフタイムに城福監督が「切り替わった瞬間が勝負だぞ」と指示を出したのはその証左といえるし、「今日は勝点3を取りに来ました」と試合後に語ったのは、こうした準備と展開を想定したからこそではなかったか。

 川崎としては1点リードしているものの、この5-4ラインに飲み込まれる前に手を打つ必要があった。そして、月間優秀監督賞を2か月連続で受賞している鬼木達監督は、その対策を後半開始から導入するのである。

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