■「使ってくれ、という気持ちの方が強かった」

――心の壁のようなものがあったのでしょうか。
「監督からすれば、『こいつは誰なんだ?』という思いはあったかもしれませんね。英語を話せなかったので、監督に話しかけられても何を言っているのかわからず、そこで終わってしまっていたんです。でも今は会話もできるし、サッカーのことも話せるようになっているので、そこは大きく変わってきたのかなと思います」

――当時は、何とか起用したくなるようにしよう、と話されていました。
「とにかく練習で頑張ることしかできなかったので、そこだけにフォーカスしていました。気持ち的には、チームのために頑張ろうとはまったく思えなかったし、使ってくれという気持ちの方が強かったですね。そういう考え方じゃないと、モチベーションを保てなかったんです。自分のためというか、自分がここで成長するということだけにフォーカスして練習していました。

――なかなか日本では出ない感覚でしょうか。
「日本でもそういう頑張る気持ちは持っていましたが、日本と違って言葉も通じないので、とにかくプレーで示していくしかないんです。日本だと、周りの人は僕のことをすごく知ってくれていましたが、こっちに来た瞬間から、誰も僕を知らないところからのスタートでした。だから、練習から『自分はここでやれるぞ』ということを見せていかないといけないと思ってやっていました」

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