終盤、関根貴大が右サイドをガムシャラに駆け上がってきた時、これだよこれ、と思わずにはいられなかった。
現在、浦和レッズは変革の真っ只中だ。どうしても窮屈になってしまっている試合において、終盤のオープンな状態でのサッカーはとても魅力的だった。
今年の浦和の試合の印象は、ACLの決勝トーナメントで強豪相手に耐えているみたいだ、というものだ。この日はボールを持つ時間が今までよりあったものの、勢いのある攻撃はなかなか見えなかった。
関根と橋岡大樹は、どちらも早くからサポーターの心を掴んだ選手だ。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のスタイルから脱却する、となった時、新しい浦和のスタイルは、勝手ながら彼らに象徴されるものになるのではないかと思っていた。
2人とも、90分を通して身体を張りながらボールを前に運ぶことができ、頑張っていることが伝わってきやすい、サポーターが応援したくなる選手だ。そういうプレーと応援の好循環で埼玉スタジアムに熱狂が戻ってくることを楽しみにしていたし、今でもそれを期待している。
しかし今のところ、身体を張って、という部分はたしかに何度も見ることができるが、彼らの攻撃時の魅力は以前ほど発揮されていない。ハーフウェイラインよりも向こうでボールを追うことが多いので仕方がないのだが、ゴール裏で撮影していて、彼らが画面に入り切らなくなるほどグンと縦に来ることがなかなかないのは物足りない。