敗れざる「ネイマールとPSG」(2)「国家を背負い、サンバを踊る」CL決勝敗退も“新次元の予感”の画像
あと一歩で手の届かなかったビッグイヤーに触れるネイマール 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

 2019ー20シーズンのチャンピオンズリーグが終幕した。

 優勝したのはバイエルン・ミュンヘンだった。バイエルンにとって、クラブ史上6回目のビッグイヤー獲得だ。そして、バイエルンはブンデスリーガ、DFBポカール、チャンピオンズリーグと3冠を達成している。

 一方、パリ・サンジェルマンが決勝に進出したという事実も無視できない。新興勢力として台頭してきたフランスの雄は近年のフットボールシーンを象徴する存在だったのだ。

■移籍の暗示

 ネイマールの移籍が暗示するもの。それは「個人の時代」への突入だった。

 2015年にバルセロナでチャンピオンズリーグ優勝を経験したネイマールだが、パリ・サンジェルマン移籍当時25歳の彼にとって、それが唯一のビッグタイトルだった。

 ワールドカップは奪っておらず、ネイマールより多くのタイトルを獲得した選手は存在する。それでも、彼には2億2200万ユーロ(当時約290億円)という値札がつけられた。なお、レアル・マドリーが2009年夏にクリスティアーノ・ロナウド獲得に支払った移籍金は9400万ユーロだった。ネイマールの移籍においては、その倍以上の額が動いたのだ。

 無論、キャリアの円熟期に向かうネイマールへの期待値はあっただろう。そして、ブラジル代表の10番である彼のブランドは十分だった。しかし、フットボールというコレクティブなスポーツに於いてチームを優勝に導いた選手ではなく個人のブランド力が高い選手に大きな価値が置かれるというのは危惧すべき出来事であった。

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