とはいえ、甘んじて受け入れることだけはしたくなかった。選手が入れ替わる中で、内田はもがいた。
「僕は、チームを支えるとかカバーするというよりも、ベンチに座るために来たんじゃないってことを、練習でアピールするってことが大事なんだなって思いましたね。いい子ぶって、チームのためにって思うのも大事かもしれないけど、でも、そこは日本人だなっていうか。そういうところを自分が出して、ギリギリまでポジション争いに絡んでいったほうがよかったんだなって思いましたね。そのときは、俺は出ないから、だったらチームのためにって思ってましたけど。
だから、もし今回直前で外れたとしても、チームの助けはするけど、やっぱりベンチに座りに来たんじゃないっていう意識ではいるし、それは若い選手とかに言いたいんですよね。後悔するぞって」
内田にとって、ベンチに座ることは悔しいこと。プロの選手であれば当然の感情だが、彼にとっては、それがさらに強かった。ただ、このコメントからも分かるように、決してエゴからの発言ではない。チームに貢献することとは別に、彼の闘争本能は燃えるのだ。右ひざの手術後、試合に出られない時間を過ごしたことは、内田にとって大きかっただろう。
2020年、引退という決断をしたとしても、その闘争心が弱まったとは思えない。きっと、新たな舞台に視線を向け、“ベンチに座るために来たんじゃない”と闘争心を燃やすはずだ。