■久保の進化

 そして、久保だ。マジョルカでは右ウィングや右サイドハーフで起用される傾向がある。しかしながら彼の適性はトップ下か、インサイドハーフ。これは久保自身が認めているところだ。

【4-3-3】の右インサイドハーフに久保が配置される。そこで彼が前向きでボールを持ったとき、チームの攻撃のスイッチが入る。何より、久保にはドリブルという大きな武器がある。ウーデゴールのようにサイドに流れるのか、あるいはファビアンのようにハーフスペースに走り込むのか。それは味方の適性やチームスタイルにも拠るが、そこに侵入していけば久保の技術とアジリティが生きてくる。

 久保が久保らしく右インサイドハーフで活躍するためには、ひとつ条件があるだろう。久保はファビアンのようにフィジカルベースの高い選手ではない。例えば、ソシエダにはミケル・メリーノやイゴール・スベルディアという守備の強度が高い選手が中盤に控えている。ポルトゥにせよ、お互いに担保し合う、相互関係が築かれているのが大きい。

 ただ、そういった関係性ができてくれば、久保建英の新たな可能性が生まれてくるという気がするのである。

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