■神童のブレイク
ウーデゴールは今季、レアル・ソシエダで萌芽の時を迎えた。16歳でレアル・マドリーに移籍して、「神童」と持て囃(はや)された男は、ヘーレンフェーン、フィテッセへのレンタルを経て、戦える選手になった。プレー強度の高いリーガエスパニョーラ1部で、肉弾戦を厭わない。
ウーデゴールのブレイクを紐解く時、見逃してはならないのは右ウィングのクリスティアン・ポルトゥとの関係性だ。フリーランの上手いポルトゥが、相手のサイドバックやセンターバックを引き付け、スペースをつくる。右サイドの空いたスペースに、ウーデゴールがスッと動いて、前向きな状態でボールを受ける。
左利きのウーデゴールが右サイドでボールを持つ。それは無数の選択肢を持つことを意味する。ドリブル、パス、スルーパス、アーリークロス、カットインからのシュート...。それが、そのままレアル・ソシエダの攻撃の形となっている。裏を返せば、そのメカニズムをつくったことが、ウーデゴールとイマノル・アルグアシル監督の勝利だと言えるだろう。
一方、ファビアンは、ナポリに移籍してからカルロ・アンチェロッティ前監督やジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の下でインサイドハーフを主戦場としている。
そもそも、ベティスのカンテラーノであるファビアンを、トップクラスの選手に仕立て上げたのはキケ・セティエン監督だ。セティエンのチームで、ファビアンは最終ラインに下がり、ビルドアップに参加した。マドリーにおけるクロース的な役割を担い、ベティスの後方からの球出しを容易にしていた。
だがナポリでのファビアンは違う。特に、いま、ファビアンのプレーは、より高い位置で特徴が現れる。ピッチを5分割した時の、端から2番目のスペース、いわゆる「ハーフスペース」の使い方が絶妙なのだ。
右ウィングのホセ・カジェホンがボールを持ち、ハーフスペースにファビアンがランニングする。そのファビアンを、相手はなかなか捕まえられない。そうして数的優位をつくり、サイドから中央を攻略していくのがナポリのひとつの攻撃パターンになっている。