新型コロナウィルスは、世界中のあらゆる事象に大きな影響を与えている。サッカー界も例に漏れず、さらにはこの先、夏の移籍市場がどうなるのかも分からない。果たして欧州サッカー界は、「コロナショック」でどう変貌する可能性があるのか?
トレードよりも、お得な補強方法
世界を覆うコロナ禍の影響で、ヨーロッパのサッカー界も大混乱に見舞われている。主要リーグで5月のうちに再開したのはドイツ・ブンデスリーガだけで、フランスのリーグアンは打ち切りが決定。イングランド・プレミアリーグは利害の綱引きが続き、イタリア・セリエAは8月末に今季を終わらせ、その数週間後に来季に突入する強引な案を練るなど、先行きは極めて不透明だ。
試合を開催できないことで、入場料や放映権料などさまざまな収入の見通しが立たない。補強に投資できる金額は当然ながら大幅に減り、今夏は選手のトレードが活発化するとの観測が広がるほどだ。
ただし、もっと安上がりに補強する手立ては残っている。今季末で契約が切れてフリーエージェントになる選手の獲得である。移籍金が不要なのだから、お買い得であることは間違いない。
もちろん、そうした選手の動向には、クラブもメディアも敏感だ。パリ・サンジェルマン(PSG)FWエディンソン・カバーニは今年2月で33歳となったが、まだ主要リーグから複数の引きがある。古巣であるナポリ復帰もささやかれたが、ナポリはやはり今夏で契約が切れる現エースFWドリース・メルテンスと契約延長するようで、カバーニは3年契約をオファーするというインテルへの移籍が有力視されている。
カバーニだけではなく、PSGは数名の選手をフリーで手放すようだ。出番が減ってはきているものの、この4~5年にわたり左右のタッチライン際で働いてきたラヴィン・クルザワとトマス・ムニエは今夏、フリーでパリを離れるという。
名手をタダで手放す「もったいない」クラブがあれば、フリーエージェントを有効活用しようというクラブもある。選手の売買でやり繰り上手だったアーセン・ヴェンゲルは去ったものの、お得な買い物を狙うのがアーセナルだ。
アーセナルはPSGを離れるクルザワのほか、チェルシーとの契約が切れるウィリアンや、昨季に7ゴール14アシストとブレイクしたボーンマスのウィンガー、ライアン・フレイザーらのフリーでの獲得に動いているという。