肥大化するプレミアリーグ(後編) 水面下で広がるギャンブルと「依存」の画像
水面下で、プレミアリーグには危機も忍び寄る 写真:REX/アフロ

現在、イングランドのプレミアリーグは、世界最大規模のスポーツリーグとなっている。このモンスター級のリーグは、いかに生まれ、育ってきたのか。そして、その行く先は。現地でフットボールビジネスを学んだ筆者が考察する。

下位リーグとの格差がギャンブルへ駆り立てる

 前編では、巨額の放映権料がプレミアリーグを世界のトップに押し上げている様を紹介した。またその恩恵が、分配金としてリーグから各クラブへとかなり公平に還元されているとも紹介した。

 ただし、すべてが平等なわけではない。まず指摘できるのが、下位リーグとの格差だ。

 そもそもプレミアリーグは、既存の国内リーグ「フットボールリーグ」から独立する形で誕生した。国内にあらためて最上位リーグを創設し、新たに発生する放映権を独占したという構図だ。

 そうした経緯が、今も実質2部リーグにあたるチャンピオンシップとの間に、金銭面での大きな隔たりを生んでいる。巨額の放映権料が、そのままリーグ間の格差となっているのだ。

 チャンピオンシップの2017-18シーズンの収支データを見てみると、単年度を黒字経営で乗り切っているクラブは、全24チーム中5チームしかなかった。この収支バランスは、オーナーからの補てんがなければクラブ経営が成り立たないことを意味している。

 では、その大きな溝を越えてプレミアリーグという「勝ち組」に入るには、どうすればいいのか。厳しいチャンピオンシップを戦い抜くオーナーが選ぶのは、“ギャンブル”である。

 チャンピオンシップを戦うほとんどのクラブが赤字であることは前述した。どうして赤字になるのか? 収入に見合う支出をしていないからだ。赤字になろうともチームを強化し、プレミアリーグ昇格を急ぐ結果である。

 紹介してきたように、プレミアリーグに入れば巨額の放映権料が手に入る。しかも、最低3年間は恩恵にあずかれることが保証されているのだ。

 クラブがたとえ降格の憂き目に遭っても、3年間はプレミアリーグの放映権料の分配を受け取ることができる。パラシュートペイメントというもので、降格の翌年はプレミアリーグ所属クラブが本来受ける分配金の55%、2年目は45%、3年目は20%と、少しずつ目減りしていくものの、決して小さくはない金額を手にできる。Jリーグでも「降格救済金」として降格の翌年のみ前年度均等配分金の80%が支払われるが、それ以上に手厚い保障がなされている。

 だからこそ、プレミア昇格へとクラブは躍起になる。選手の年俸が高騰する中、強化費をどこまで上げるのか。どのタイミングで何に投資をすればいいのか。赤字になっても昇格をつかみにいくこうした動きは近年、まさに「プレミアリーグ・ギャンブル」と呼ばれて問題視されている。

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