リヴァプールもシティも動きはなし?
4月半ば、リヴァプールやトッテナムでディレクターを務めたダミアン・コモリは今夏の移籍市場について、「投じられるカネは非常に少ないだろう」との見通しを語った。その際、ある代理人による「今夏の移籍市場で資金を投じられるプレミアリーグのクラブは3つしかない」との発言を明かしている。極端な物言いだとしても、コロナウィルスの影響でリーグ戦の中断やチームの活動停止に陥り経営へのダメージが大きいプレミアリーグで、派手な動きができそうなところは限られることは想像に難くない。
確かに、現在のイングランドは“異常”だ。通常ならリーグ戦が終了に向かうこの時期には、さまざまな移籍情報が飛び交う。だが、今年はクラブ経営へのコロナショックの影響が巨大すぎて、タブロイド紙が得意とする「飛ばし合戦」さえも湿りがちだ。
リヴァプールとシティの周辺でもいくつか名前は出るものの、しりすぼみに消えていく。そもそもプレミア首位独走のリヴァプールは面子が盤石過ぎて、新戦力を組み込む隙間が見当たらないのだ。イングランド代表主将のハリー・ケイン(トッテナム)の名も新戦力候補として浮上したものの、サディオ・マネらによる強力3トップの一角を崩すのは簡単ではない。むしろ、冬の市場で移籍した日本代表FW南野拓実のように、中盤もこなせるユーティリティでないと加入は難しい、と指摘する声もあるほどだ。
シティに重く響くのは、ファイナンシャル・フェアプレー違反による2シーズンの欧州大会への出場禁止だ。今年2月に発表されたUEFAからの処分には反論できるものの、処分の撤回や軽減がなされるかは不透明だ。ビッグネームが移籍の条件にすることが多いCLに出られないとなれば、大ダメージとなることは確実だ。むしろシティでは、レロイ・サネのバイエルン・ミュンヘン移籍など、退団の噂の方が目立つ。
イングランドの金満クラブの先駆けであるチェルシーは、昨季は3位へ浮上したが、補強費は年々落ち着きを見せている。もともと、まだ値が安い若いタレントを狙うアーセナル、トッテナムにおいては、堅実さが一層増すことだろう。