■祝意と感謝と羨望と

 決勝、南アフリカ対イングランド

 世界チャンピオンを決める1戦。ニュージーランドに完勝したイングランドが、南アフリカに押し込まれる。それでも幾度かトライまであと一歩まで押し込むが、攻めきれず。ペナルティでしか得点が奪えない。その後も、スクラムを押し込まれ、ペナルティを提供し、少しずつ点差を広げられる。そうこうしているうちに、僅かなミスを突かれ、逆襲から一気に攻め込まれ、強力な両ウィングの突破からトライを許し、決定的な得点差とされる…

 イングランドは、2週間前に私たちが南アフリカにやられたのと同じ流れで敗れた。イングランドでさえ、あれだけペナルティを提供してしまう南アフリカの猛威。逆に考えると、今大会のジャパンのレベルがいかに充実したものだったかが、改めて理解できた。

 この南アフリカの堂々たる世界制覇を目の当たりにして、改めてリーチとその仲間達に誇りを抱くことができた。 

 この大会中、私は59歳になった。毎シーズン、愛するベガルタ仙台の七転八倒を堪能し、4年ごとに訪れるサッカーワールドカップを予選から本戦までじっくりと味わうのが、私の人生だ。リーチとその仲間達は、このただのサッカー狂に、忘れ難い彩りあふれる1ヵ月を提供してくれた。

  まずは、これだけ楽しめる冒険を見せてくれた、リーチとその仲間達、加えて、ジェイミー・ジョセフ氏とスタッフの方々、そしてこのような魅力的な選手たちを育成した日本中のラグビー人すべてに最大級の祝意を伝えたい、「おめでとうございます」。そして、日本人の野次馬として、その歓喜をお相伴させていただけた事に感謝したい、「ありがとうございました」。さらには、サッカー狂としては正直羨望している。「うん、うらやましかったです」。

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