仕上げは両ゴール前の同時作業で

 一方、最初にゴールラインとタッチラインを決めた部隊は、長いひもをピッチの長さいっぱいに伸ばし、まず両ゴールライン上の相対するペナルティーエリアマークを結ぶ。そして別の2人の選手が長いひもに沿ってゴールラインから「16.5メートル」のところに「ペナルティーエリアの角」をマークする。マークしたら、長いひもを張り詰めたままゴールエリアマーク同士を結び、同じように5.5メートルのひもを使って「ゴールエリアの角」、11メートルのひもを使って「ペナルティースポット」……と順番にマークしていく。言うまでもないが。この作業は両側のゴール前で同時に行われる。

 ついでに言うが、両ゴールの「ゴールエリア」のマーク同士をつないだとき、そのひもはセンターサークルの両端に接するはずである。

 こうして決まった角かどのマークをラインでつないでいけば、あっという間に「ペナルティーエリア」と「ゴールエリア」、さらには「ペナルティースポット」が完成する。

 最後の仕上げは、「9.15メートル」のひもを使い、ペナルティースポットを中心にペナルティーエリア外に「ペナルティーアーク」を引くことである。

 選手たちが作業を理解して効率よく動き、しっかりと石灰の出るラインカーが3台あれば、30分ほどでこのすべての作業を終えることができる。

 見てほしい。何のマーカーもなかった円形のグラウンドの中央に、ほれぼれとするほど美しいサッカーグラウンドができたではないか。ピッチ状態に多少の不満はあっても、何かいとおしさのようなものを感じさせてくれるサッカーグラウンド。選手たちもずいぶん動き、ウォーミングアップは完了。ストレッチをすれば練習に取りかかることができる。 

 こうして「グラウンドづくり」から始めると、合宿の練習は不思議に充実する。「みんなで力を合わせる」というところから始まるからに違いない。

 日本代表の合宿も、いちど、「グラウンドづくり」からやってみたらどうだろう。

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