ジョアン・フェリックス(ポルトガル代表)
ジョアン・フェリックス(ポルトガル代表)写真:AP/アフロ

 ポスト・クリスティアーノ時代ーー。長く、ポルトガル代表はエースであるクリスティアーノ・ロナウドに依存してきた。

 C・ロナウドがポルトガル代表で公式戦デビューを果たしたのが、奇しくもユーロだった。母国開催となったユーロ2004のグループステージ開幕節ギリシャ戦でピッチに立った。以降、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリー、ユヴェントスとビッグクラブを渡り歩きキャリアを築いた男は、代表においても絶対的なエースとして君臨し続けた。

 あれから16年の時が経った。そして、いま、その後継者になる可能性を秘めた選手が現れた。

 ジョアン・フェリックスである。

 

ポルトで押された失敗の烙印

 

 ポルトガルのヴィゼウに生まれたジョアン・フェリックスは、8歳でポルトの下部組織に入団する。当初、彼は苦しい日々を過ごした。およそ120Km離れているポルトに行くために、故郷ヴィゼウを後にしなければならなかったのだ。練習初日、彼は号泣した。だが父親に説得され、ポルトで戦う選択をした。

 しかし、今度はポルト側がジョアン・フェリックスに見切りをつける。14歳で「失敗の烙印」を押されてしまったのだ。フィジカルが弱い、というのがその理由だった。それでも、その一年後にベンフィカに拾われる。神は彼を見捨てていなかった。

 ベンフィカは若手選手を育てるのに長けたクラブである。ベルナルド・シウバ(現マンチェスター・シティ)、ネルソン・セメード(バルセロナ)、ジョアン・カンセロ(マンチェスター・シティ)、ビクトル・リンデロフ(マンチェスター・ユナイテッド)、ヤン・オブラク(アトレティコ・マドリー)、エデルソン・モラレス(マンチェスター・シティ)…。数多の選手がベンフィカでプレーした後、ステップアップしてビッグクラブへと移籍している。

 そのベンフィカで、ジョアン・フェリックスは頭角を現していく。16歳でBチーム史上最年少デビュー、18歳でトップデビューを飾り、そのまま主力になった。

 彼が欧州で一躍名を馳せたのは、2018-19シーズンのヨーロッパリーグ(EL)準決勝ファーストレグ、フランクフルト戦だ。ハットトリックを達成して、チームの4ー2の勝利に貢献。19歳152日でのハットトリックは、EL史上最年少記録となった。
 

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