■巨額マネーが動く「ビジネス主導」の発展史

 アメリカではヨーロッパ、特にイングランド生まれのスポーツを独自に進化させ、アメリカ化させたベースボールやアメリカンフットボール。また、アメリカ生まれのスポーツであるバスケットボールなどが盛んで、アイスホッケー(カナダ生まれのスポーツ)と合わせて「4大スポーツ」と呼ばれ、それぞれのトップリーグのプロ選手は莫大な収入を得ていた。

 それに対して、ヨーロッパ大陸で最も人気の高いフットボール(=サッカー)は第2次世界大戦後もまだアマチュアに近い運営が続いており、ようやく本格的にプロ化が進んだ後も、1980年代まではクラブの財政規模も、選手たちの俸給もアメリカのプロスポーツには遠く及ばないでいた。

 ヨーロッパではスポーツ競技団体が主催する競技会を公共放送などが実況中継する形だったのに対して、アメリカでは第1次世界大戦後のラジオの時代から、放送局が企画して競技大会が開かれるようになり、より商業化が進んでいた。

 また、それに伴って、放送局に都合がいいように(試合終了時間が読みやすいとか、試合中にCMを入れやすいようにとか)競技のルール自体が改正されてきた。

 ゴルフが各ホールごとに勝敗を決めるマッチプレー方式から総打数を競うストローク方式に変わったのも、中継局の意向だったし、テニスなどでは試合時間を短縮するためにタイブレーク制が取り入れられた。最近になってメジャーリーグ・ベースボール(MLB)で「ピッチクロック」が取り入れられたのもご承知の通りだ(そして、サッカーもついに「ハイドレーションブレイク」という名目で事実上のクォーター制に変わった?)。

 そして、その分、アメリカのプロスポーツでは早くから放映権料が発生し、巨額の資金がスポーツ界に流れ込んでいたのだ。

 だから、僕は「アメリカはヨーロッパ以上のスポーツ先進国」と認識していたのだが、1994年のワールドカップのときにアメリカのスタジアムを見て、旧態依然とした光景にびっくりしたのである。

(3)へ続く
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