■欧州と真逆!? 94年当時の米国スタジアムの“遅れ”

 アメリカでワールドカップが開催された1990年代前半というと、ヨーロッパではサッカー場の改築や新築が相次ぐ時代だった。

 1980年代に「ヘイゼルの悲劇」や「ヒルズボロの悲劇」などスタジアム事故が相次ぎ、古いスタンドの危険性が指摘されたことから近代化が急がれたのだ。

 

(注)「ヘイゼルの悲劇」は1985年5月、ベルギー・ブリュッセルのヘイゼル・スタジアムで行われたチャンピオンズカップ決勝、リバプールユベントス戦での群集事故。39人死亡。「ヒルズボロの悲劇」は1989年4月、イングランド・シェフィールドのヒルズボロ・スタジアムでのFAカップ準決勝リバプール対ノッティンガム・フォレスト戦での群集事故。死者97人。

 

 スタジアム事故の当事者だったイングランドを中心に、ドイツなどヨーロッパ大陸諸国でも、アメリカのように巨大ではないが、コンパクトで近代的なスタジアムが完成しつつあった。

 また、雨が多いヨーロッパでは昔からスタンドには屋根が設置されていた。イングランドの古いフットボール・グラウンドでもスタンドをすっぽりと覆う屋根は一般的なもので、雨が降っていることに気が付かないこともよくあった。

 それに対して、1994年当時のアメリカのスタジアムの設備はあまりにも旧式だった。

 当時、僕はそのことに驚かされたのである。

 というのは、アメリカというのはヨーロッパ以上のスポーツ大国だったはずだからだ。

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