ワールドカップ開幕直前の親善試合で、史上初めて日本代表に敗れるという屈辱を味わったサッカーの母国・イングランド。この敗戦を機にチームは方向性を大きく修正し、フィル・フォーデンやコール・パーマーといった実力者たちをメンバーから外す大ナタを振るった。
しかし、いざ北中米W杯が幕を開けると、前回カタール大会のベスト16で日本がPK戦の末に涙を呑んだ因縁の相手、ルカ・モドリッチ擁するクロアチアを4-2で粉砕。早くも1966年自国大会以来、「60年ぶりの優勝」への期待がささやかれている。
日本戦の敗北から、イングランドはなぜ圧倒的な強さを取り戻したのか。サッカージャーナリストの大住良之氏は、終盤に畳み掛けた後半ではなく、苦戦を強いられた同点の前半にこそ、その「強さの真髄」が示されていると指摘する。現地からの直送レポートをお届けする。
■前半2つの得点「いずれも右CK」
地元では「60年ぶりの優勝か?」と期待が高まるイングランドだが、国際的には疑問符をつける人が多い。それはイングランドがこれまでのワールドカップで「美しい敗者」を演じ続け、PK負けなどを繰り返してきたからだろう。「肝心なところで勝負弱い」が、イングランドの定評だった。
だが今大会の初戦、クロアチアを4-2で下した試合は、「今度こそ」の期待をもたせた。「勝つすべを心得たイングランド」という、新しい姿がそこに見られたからだ。
トーマス・トゥヘル監督が「私は後半の戦いぶりを気に入った」と語ったように、2-2の同点で迎えた後半、イングランドは一挙にスピードアップ、2分にMFエリオット・アンダーソンのスルーパスで抜け出したジュード・ベリンガムが勝ち越し点を挙げると、リズムに乗ってクロアチアを圧倒、終盤には交代出場のマーカス・ラッシュフォードが決めて4-2とし、「快勝」を印象づけた。
しかし私には、クロアチアの思いがけない決定力(前半2回のチャンスで2点を決めた)と「5バック」による粘り強い守備に苦しめられた前半にこそ、イングランドの「勝つ術」があったように感じられた。2つの得点は、いずれも右CKから生まれたものだったからだ。

































