■カップ戦とリーグ戦の間の「ジレンマ」
少し複雑だが、19世紀なかばにイングランドで誕生した現代スポーツとしてのサッカーには、2種類の大会が存在した。1871年に世界最古の大会としてスタートした「FAカップ」を祖とする「カップ戦」と、強豪チーム同士の試合を増やそうと1888年に創設された総当たり方式の「リーグ戦」である。そして「チャンピオン」の称号はリーグ優勝チームに与えられ、ノックアウト方式のカップ戦優勝チームは単に「カップ・ウィナー」の地位にとどまったのである。
「リーグ戦」は「リーグ・チャンピオンシップ(選手権)」と呼ばれ、世界の多くの地域で、チャンピオンを決める大会は「選手権」というイメージが固定した。
ただ日本では、王者を決める大会はノックアウト方式のカップ戦だけという時代が長く、カップ戦に「選手権」の名称が与えられた。現在も、「全日本選手権(日本のチャンピオンを決める大会)」は天皇杯であり、Jリーグの優勝チームは単なる「リーグ・チャンピオン」に過ぎない。だが世界では、「チャンピオンシップ」に相当する言葉で語られるのは、各国のトップリーグなのである。
つづく

























