■メキシコの画期的アイデア
メキシコシティのアステカ・スタジアムは、過去2回(1970年と1986年)のワールドカップ決勝戦会場となった世界的な名スタジアムで、今年のワールドカップで「3回のワールドカップで使用される唯一のスタジアム」となる。現在は命名権がついて「エスタディオ・バノルテ」となっているが、1968年のオリンピック、1970年ワールドカップに向けて1966年に完成した。半世紀以上前、その建設費捻出をめぐって興味深い話を聞き、なるほどと思ったことがある。
1966年完成当時の建設費、2億6000万ペソが当時のレートでどのくらいの額になるか、調べがつかなかったが、ともかく当時のメキシコで最大級のプロジェクトだった。しかもテレビ局を中心とした民間資本で建設されたため、資金調達が大きな課題だった。そのうえ観客席を覆う屋根に支柱を設けないことにしたため、建設費は初期の計画より大幅に増加した。
この増加分の資金を調達するために画期的なアイデアを思いついたのは、プロジェクトリーダーであったギジェルモ・カニェドという実業家だった。彼はスタジアムの1層目と2層目の間に「高級ボックス席」を設け、それをあらかじめ販売することで建設費増加分を捻出することを思いついた。最終的にボックス席はスタジアムを一周するように631室つくられ、各席には2台分の駐車場も用意された。そして、そのオーナーは99年間(!)のボックス席使用権を手にしたのである。
つづく










