■高校サッカーが守備的になる理由
残念ながら、高校サッカーは“勝利至上主義”的なサッカーが横行する世界である。
人気スポーツの全国大会で上位に進出することによってその高校の名は全国に知れ渡り、入学希望者も急増する。現代日本の少子高齢化社会において学校経営も厳しい時代に、スポーツで有名になることは学校法人にとっても経営上重要なことだ。
そのためには、まず全国大会に出場して上位進出を果たさなければならない。高校スポーツの指導者は、そのような使命を帯びて雇用されているのだ。
しかも、高校サッカーは都道府県大会から全国大会決勝戦まで原則としてノックアウト式のトーナメントで行われる。一発勝負であり、リーグ戦と違ってひとつのミスが命取りとなる。
そして、ご承知のように全国大会の準々決勝までは80分ハーフ。決勝戦を除いて延長戦なしの、即PK戦という大会方式になっている。
サッカーは、もともとあまり得点が入らず、番狂わせが起こりやすい競技だ。同時期に行われる高校ラグビーは、競技の特性上、強豪校が確実に勝ち上がってくるので毎年同じような顔ぶれでの優勝争いとなるが、サッカーでは何が起きるか分からない。
そのうえ、80分ゲームでは弱者側が十分な分析・準備をして守り切り、GKが大当たりしたりすれば、番狂わせが起こる可能性が高くなる。
そこで、上位進出の可能性を上げるためには、挑戦を受ける立場の強豪校も安全第一の守備的な、リアクション・サッカーを選択する誘惑にかられるのだ。













