「勝たなければいけない」呪縛からの解放、さらに強くなるためには!?【「ユース3冠」の偉業で求められる「鹿島の哲学」からの脱却】(3)の画像
鬼木達監督が、トップチームを呪縛から解き放った。クラブ全体でも、一度は鹿島らしさを見直す必要があるかもしれない。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 Jリーグ屈指の名門である鹿島アントラーズのユースチームが、3冠を達成した。偉業であることは間違いない。だが、サッカージャーナリスト後藤健生の目には、まだ成長の余地があると映っている。

■足りないバリエーション

 つまり、攻撃面でもっと様々なバリエーションが必要であり、そこで変化を付けることのできる選手が必要になる。相手の守備のやり方を見て攻め方を変えたり、相手の守備陣にとって最も嫌なことをするアイディアを出せる選手だ。

 たとえば、長期離脱中の小笠原央がピッチに立っていたら、攻撃のバリエーションは間違いなく多くなるし、フィニッシュの段階で攻め方を変えるようなことができるはずだ。

 トップ下からゴリゴリと相手ペナルティーエリア深くまで入り込んでいく吉田湊海と、テクニックを使って攻撃に変化を付ける小笠原が並んでいたら、相手チームにとっては非常に対処が難しくなるはずだ。

 チーム全体としても攻撃のバリエーションを増やしていくことが必要だ。

「3冠」を達成した鹿島ユースだが、神戸戦のメンバー表を見ても17歳、16歳の選手が何人もいる。得点に絡んだ吉田と平島大悟も2008年生まれの17歳だし、DFの元砂晏翔仁ウデンバやGKの大下幸誠は2009年生まれの16歳。

 来年、目指すべきは、さらにバリエーションを増やし、攻め切って点を取り切ることのできるサッカーだろう。

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