大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第178回「31年前のアメリカW杯との違い」(4)メッシ活躍の「新プロリーグ」誕生、女子はW杯「4回」優勝、一番の違いは「日本代表」の存在の画像
前回のカタール大会で優勝したのは、リオネル・メッシ率いるアルゼンチン。そして現在メッシは、アメリカのメジャーリーグサッカー、インテル・マイアミでプレーしている。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、「まさに隔世の感」。

■「プロサッカーのない国」でのW杯

 1994年ワールドカップは、「プロサッカーのない国」でのワールドカップだった。

 アメリカでは、いくつかのプロリーグが失敗した後、1967年に誕生した北米サッカーリーグ(NASL)が初めて大きな注目を集める存在になった。1975年にペレ(ブラジル)と契約したニューヨーク・コスモスがその後も次々と世界的なスターを獲得。他のチームもスターを集めるようになって、時には7万人を超す観客を集めた。

 しかし1984年でこのリーグは終了し、以後、プロリーグはできなかった。1994年のワールドカップをアメリカで開催するにあたって、FIFAはアメリカのサッカー界に対し、大会後に新しいプロリーグを設立することを要求した。しかし大会は、試合会場こそ史上最多の1試合平均6万8991人の観客で埋まったが、スタジアムを一歩出るとワールドカップへの関心は低く、「サッカーの祭典」としては非常に寂しいものだった。

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