サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、「まさに隔世の感」。
■「プロサッカーのない国」でのW杯
1994年ワールドカップは、「プロサッカーのない国」でのワールドカップだった。
アメリカでは、いくつかのプロリーグが失敗した後、1967年に誕生した北米サッカーリーグ(NASL)が初めて大きな注目を集める存在になった。1975年にペレ(ブラジル)と契約したニューヨーク・コスモスがその後も次々と世界的なスターを獲得。他のチームもスターを集めるようになって、時には7万人を超す観客を集めた。
しかし1984年でこのリーグは終了し、以後、プロリーグはできなかった。1994年のワールドカップをアメリカで開催するにあたって、FIFAはアメリカのサッカー界に対し、大会後に新しいプロリーグを設立することを要求した。しかし大会は、試合会場こそ史上最多の1試合平均6万8991人の観客で埋まったが、スタジアムを一歩出るとワールドカップへの関心は低く、「サッカーの祭典」としては非常に寂しいものだった。










