■ひとり7500円で「5つ星ホテル」に宿泊

 何よりも、そのホテルがとても安かったのである。開幕戦の行われたシカゴや決勝戦の会場となったロサンゼルスでも、超一流ホテルが1室1万5000円ほどだった。私は仲のいいカメラマンの今井恭司さんと同じ日程にして1室をシェアしたのだが、ひとり7500円ほどで5つ星のホテルに泊まることができたのだ。

 たとえば開幕戦までのシカゴでは、Chicago Hilton & Towersというところに宿泊した。行ってみると、そこは、前年に公開されて大ヒットしたハリソン・フォード主演の映画『逃亡者』のラストの舞台となったところだった。

 バウチャーは1泊分ごとに機械印刷された封筒形式になっており、チェックインのときにそのままホテルのフロントに渡せば部屋に通されるという形だった。封筒の中身を知りたがった仲間の記者が、たまたま予定の変更で使わなかったバウチャーがあったので破ってみると、中には「バンク・オブ・アメリカ」の小切手が印刷されており、彼が「アコモデーションビューロー」に支払った金額の半額の数字が印字されていたという。

 スイスの会社が運営していた「アコモデーションビューロー」はとんでもない暴利をむさぼり、このころから「アベランジェ-ブラッター体制」のFIFAの腐敗が始まっていたのだが、それでも「強い円」を持つ日本人の私たちにとっては安い宿泊だった。

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