「優勝目前」鹿島の攻撃を封じた東京V「前半45分間」の城福マジック【東京V対鹿島、“大熱戦”を生んだ「3つのマジック」】(1)の画像
「選手層の薄い」東京ヴェルディと「優勝目前」の鹿島アントラーズ。1点を争う大熱戦の背景には、「3つのマジック」があった。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 2025年のJ1リーグもクライマックス。首位の鹿島アントラーズは優勝のプレッシャーの中で、苦しみながらも勝利した。勝点3を積み上げたわけだが、その大熱戦の裏側には、対戦相手である東京ヴェルディが披露したものも含めて、雌雄を決す「3つのマジック」があったという。サッカージャーナリストの後藤健生が、その瞬間を試合の経過とともに、詳らかにする!

■穏やかな顔つきだった「敗戦の将」

 ホーム最終戦のセレモニーを終えて記者会見場に現われた東京ヴェルディの城福浩監督は、0対1の悔しい敗戦の後だったにもかかわらず、穏やかな顔つき。試合内容に満足しているようにも見えた。

「やれることはやりました。今の持っている力は出せた……」

 いつもなら、敗戦後には目を充血させて、選手に対する叱咤激励の熱い言葉を繰り出す城福監督だが、この日は最後まで表情が穏やかだった。それはけっして、セレモニーがあったせいで、試合終了から長い時間が経過していたからだけではないように見えた。

 J1リーグ第37節。東京Vが優勝に王手をかけている鹿島アントラーズを味の素スタジアムに迎え撃った一戦は、期待を大きく上回る大熱戦となった。

 そんな大熱戦を生んだのは、いくつかの“マジック”によるものだった。

 まず、特筆すべきは東京Vの素晴らしいプレーぶりだった。中断期間中にチームを見事に立て直すことに成功したのだ。それが、「城福マジック」である。

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