■悔しい思いを噛みしめて「この熱気を覚えておこう」

――大崎選手がスタジアムを見回している動画が話題になっているんだけど、あの動画は見た?

「見ました」

――スタジアムを見ている背中から映し出された大崎くんは、まるで世界の終わりを見ているような感じに見えたんだけど。

「ネガティブじゃなくて、今日あの熱狂を自分たちが受けられればよかった、勝ったらこれくらい盛り上がるのか、というのと、このスタジアムの熱気を覚えておこう、と。

 次の最終節のホームでの試合は、自分たちがこれくらい歓喜の渦で、自分が次はその中心にいるんだ、と想像してスタジアムを眺めていました。悔しかった思いと、すべての思いを噛み締めながら、スタジアムを見回していました」

――「まだ終わっていないから」と声をかけたのはお母さんで、頭を撫でたのはお父さんなの?

「はい、そうです。少し安心したので泣いてしまいました」

 来シーズンJ1の舞台で戦う大崎に、どのチームと戦ってみたいか、問うてみた。

「アントラーズさんですね、いつもプレシーズンでの対戦だったので、本格的なシーズンで試合ができるのは楽しみです。

 J1でプレーするのは、自分がずっと望んでいたことなので、絶対にJ1に残って水戸の新たな歴史を作る。やっとスタートラインに立ったんです」

 大崎は、プレーが優れているだけでなく、人としても謙虚で信頼できる人間だ。今シーズン覚醒した大崎のプレーをJ1のステージで見られることは、うれしいことである。

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