アビスパ福岡から獲得した日本代表DFの売却で「8億4000万円」、クラブ史上最高額「12億円」をもたらした鈴木彩艶【サッカー日本代表を支える「欧州の小クラブ」】(2)の画像
ガーナ戦の先発メンバーの中で、シントトロイデン所属はCB谷口彰悟(後列右から3人目)。ちなみに、MF中村敬斗(前列中央)もかつてシントトロイデンに所属していた。撮影/原壮史(Sony α1使用)
■【画像6枚】スタジアム、駅、ホテル、街のシンボル…サッカー日本代表を支える「シントトロイデン」の街を歩く!

 年内最後の活動をおこなっているサッカー日本代表で、最も多くの人材を送り出しているクラブがある。けっしてビッグクラブとは言えない、ベルギーのシントトロイデンVVだ。来年おこなわれるワールドカップで優勝という大きな目標に掲げる日本代表を、欧州の小クラブはどのようにして支えているのか。サッカージャーナリスト大住良之が、その「マジック」をひも解く!

■現在まで日本人選手「約30人」が所属

 シントトロイデンVVが日本のDMM.com(ディーエムエム・ドット・コム)所有のクラブであることはよく知られている。Eコマース(ネットショッピング)で大きくなったDMMは、現在では多角的な事業を展開し、スポーツにも力を入れている。そのDMMがシントトロイデンの経営権を取得したのは、2017年11月のことだった。

 ベルギーの1部と2部を行き来することが多かったこのクラブでは、2015年から2017年のはじめまで日本人FWの小野裕二(現在アルビレックス新潟)がプレーしていたが、DMMが経営権を獲得した以後は積極的に日本人選手を獲得し、現在まで30人近くの選手がこのクラブのユニフォームを着た。

 日本人選手に欧州の舞台で経験を積ませようという意図が、最初からDMMにあったわけではない。欧州で人気のあるサッカーという事業に参入することで会社をさらに大きくしたいという純粋な「商業的動機」だったのだが、経営権を獲得した直後の2018年1月にはアビスパ福岡からDF冨安健洋を獲得。冨安は1年半後にはイタリアのボローニャに700万ユーロ(当時のレートで約8億4000万円)で移籍したことで、大きな利益を得た。シントトロイデンのクラブ史上、当時最高の「高額移籍」だった。

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