■5年有効や10年有効でもない「1次旅券」
僕が最初にパスポートを取得したのは、1972年のことでした。
フジテレビで放映していた「クイズ・グランプリ」という番組で優勝して、その賞品がヨーロッパ旅行だったのです。
このクイズは、月曜から金曜まで毎日優勝者が決まり、その週の5人の優勝者が土曜日に集まって再び戦って、そこで勝つと旅行が当たるという仕組みでした。
ですから、毎週1人が優勝するので、半年に1回、優勝者20数人を集めて団体旅行に行くことになっていました。
で、僕は1972年10月から11月にかけて旅行に行くことになったのですが、旅行会社から問い合わせが来ました。
現在では一般旅券は5年有効と10年有効のものがありますが、もともとはすべていわゆる「1次旅券」で、旅行に行くたびに申請するものでした。ですが、1970年頃に5年間有効の数次旅券の取得が可能になりました。
で、旅行会社から「どっちにします?」と聞かれたのですが、悩んだ末に僕は料金の安い「1次旅券」を選びました。5年以内に再び海外旅行に行くとは思えなかったからです……。まだ、そんな時代でした。









