■後半アディショナルタイムでの劇的バースデー弾

 同時刻に開催されている横浜FMvs浦和レッズが、前半だけで4-0となったことをハーフタイムに場内ビジョンで知らされていたホームゴール裏は、負けて3ポイント差になることの重大さを応援の大きさに変えて、選手たちをゴール前に呼び込むべく声援を送り続ける。

   すると後半アディショナルタイム、最後まで諦めない横浜FCが、相手陣内左サイドから細井響が矢のようなロングスローをゴール前に投げ込み、そのこぼれ球を拾った山根永遠がゴール前へ再びクロスを送る。そのボールも跳ね返されたが、そのクリアボールが相手に当たると、後半15分から出場していた伊藤槙人の足元へ。この日がちょうど33歳の誕生日だったDFは、丁寧な左足トラップから鋭く左足を振り抜き、強烈なハーフボレーでのシュートをゴールに叩き込んだ。

 試合は2−2で終了。横浜FCとしては土壇場で貴重な勝点1をつかみ取った形となったが、殊勲の伊藤は試合直後のインタビューで「勝点3を取りたかったですけど、2失点してしまった。最後、追いつけたのは良かったですけど、ゼロで抑えて勝点3を取り切りたい試合でした。たくさんのサポーターが応援してくれている中で、ホームで勝点3を取って残留へ向けて勢いをつけて行きたいところでしたけど、本当、悔しい結果に終わってしまった」と、険しい表情のまま試合を振り返った。

 同日、横浜FMが勝利したために、勝点差2を付けられた横FC。それでも3ポイント差になってしまえば入れ替わるために少なくとも2試合かかる(※得失点差はマリノスが8つ優位)ところを1試合で逆転できる状態にして終わったことで、試合後の選手たちの眼光は鋭かった。

 残りは4試合。横浜FCは次節から柏レイソル鹿島アントラーズ京都サンガF.C.と優勝争いの上位陣との3連戦となるが、「僕たちは目の前の一戦一戦で勝点を積み上げて行くしかない。切り替えて、次の試合は勝点3を奪いたい」と伊藤。果たして、今季のJ1残留争いの結末はどうなるか。この日、横浜FCが執念で奪い取った勝点1がどう影響するのか、注目される。

 

■試合結果
横浜FC 2-2 名古屋グランパス

■得点
20分 櫻川ソロモン(横浜FC)
71分 稲垣祥(名古屋)
80分 佐藤瑶大(名古屋)
90+4分 伊藤槙人(横浜FC)

PHOTO GALLERY ■【画像9枚】J1残留争いの横浜FCイレブン!“強さ”を見せた櫻川ソロモン!リトグリが応援ソング熱唱!細川響の“必殺”ロングスロー!殊勲弾の伊藤槙人!
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