■縦へのサッカーを推奨「前に出せなかったら“運べ”」
林 僕が推奨するサッカーは「縦へのサッカー」です。ボールを奪った後に、得点する機会が増えていますよね。守備から攻撃へとつながった後を強化した点が大きいのかと思います。
――昨年までの水戸は、私が見ていてですが、ボールを奪ったらボールをつなごうとする傾向が強かった。今シーズンも、ボールを奪われたら、すぐに奪い返しにいく「プレスバック」は相変わらず激しいですね。
林 守備の部分は森監督が担当しているので、昨年と同様に激しくやっていると思います。僕は攻撃を担当しているので、ボールを奪ってから、どうやって攻めていくのかについて、チームに落とし込む仕事をしていると言えばわかりやすいかもしれません。
――そこに今季の水戸の躍進のヒントがあるのかもしれませんね。
林 僕が選手全員に言っていることは、奪った後に、ボールを保持するやり方をしていたら、「そんなことやってないでゴールへ行け」と伝えているんです。
――8月23日の第27節のサガン鳥栖戦で、FW齋藤俊輔が36分に先制点をあげたシュートシーンがありました。
相手からボールを奪ってインターセプトした齋藤が自らドリブルをしてシュートを決めた。その際に、渡邉新太が右から左に動き出して、相手ディフェンダー(以後、DF)の間に走って裏に抜けようとする。
鳥栖のDFは渡邉の動きにつられてしまって、ドリブルして向かってくる齋藤へのプレスが一歩遅れる。シュートスペースができた齋藤は迷いなく右足を振り切る。こうした場面を、今季はしばしば見かけることがありますね。
林 あのシーンが今季の水戸の攻撃を物語っています。選手全員に言っていることですが、「奪ったらゴールへ向かえ」と。
後ろの選手がボールを持った選手を追い越していく。それはトレーニングからずっと継続していることです。ボールを奪った選手がボールを前に出す。それを狙わない選手がいたら指摘しますし、それを狙わない選手は試合に出られません。もし、前にボールを出せなかったら「運べ」と。
それが齋藤のシュートにつながったのかもしれません。運んだ瞬間に前の選手には「道を開けろ」と言っているんです。カウンターの仕方までトレーニングで丁寧に落とし込んでいます。


