
サッカー日本代表が、歴史的な勝利を挙げた。唯一ワールドカップ全大会に出場し、最多5度の優勝を誇る「王国」ブラジル代表から、史上初めて勝利したのだ。なぜ快挙は成し遂げられたのか。また、来年の北中米ワールドカップに向けて、どのような意味を持つのか。ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り尽くした!
■たまたま「一発」が決まったんじゃない!
――ブラジルはテストもしていたということですが、では、この勝利はどう評価すべきなんでしょうか。
大住「勝ったことはもちろん大きいよ。ブラジル相手に点を取るのは、そんなに簡単なことじゃない。これまでも出会いがしらの事故のように点を取れたことはあったけど、ああやって点を取って、追い詰めて同点にして、さらに逆転するというのは、やはり力がついてきた証拠だよ。
しかも久保建英が、起用されているのが気の毒なくらいの悪コンディションで、主力のボランチ2人やDFがいない状況だったわけじゃない。森保一監督は言い訳せず、今いるチームがベストだと言うけどさ。
ブラジルも国内組をたくさん試して、レアル・マドリード所属の2人、ロドリゴとビニシウス・ジュニオールを同時に起用することもなかった。前半を見ていて、たとえあと1、2点取られてもいいから、せめて1点取ってほしいと思っていたけど、中村敬斗の同点ゴールは南野拓実のゴールと連続して生まれたし、上田綺世のゴールも本当にすごかった」
後藤「そうそう、たまたま一発が決まったんじゃなくて、他にもいっぱいチャンスをつくっていたからね」
大住「そう考えれば、やはり力がついたと言えるんだよ。前半のような試合はやっちゃいけないと思うし、森保一監督も言っていたけど、先行して逃げ切るようなサッカーをできるようにならないと、ワールドカップ優勝は無理だけどね」