■日本サッカー史に燦然と輝く「一夜」に
後半、日本は戦い方を変更。じっくりとボールを持ちながらギャップを作ってくるブラジルに対し、マンツーマン気味な守備を採用した。
これがハマり、ブラジルはビルドアップが機能不全に。それだけでなく、日本はそこに上田綺世から始まるハイプレスで襲い掛かり、完全に主導権を奪ってみせた。
苦しまぎれのブラジルのアバウトなボールに対しては渡辺剛、谷口彰悟、鈴木淳之介の最終ラインが個でしっかりと対応し、日本の反撃を支えた。
52分には日本のプレスがブラジルの最終ラインのパスミスを誘発し、この日キャプテンを任された南野拓実のゴールで1-2に。
このゴールで日本は手応えを得た。一方で、ブラジルはミスからの失点でヤル気を失うことになり、結果、その後は日本がブラジルを圧倒する時間が続くことになった。
62分に中村のゴールで2-2に追いつくと、スタジアムは「勝てるのでは」という雰囲気に染まり、ふだんの親善試合とはまったく異なる応援の熱量に。
70分、押せ押せムードの中、猛攻を繰り広げる日本は、伊東のクロスを上田が合わせたが、これは間一髪で防がれてコーナーキックに。
しかし直後、キッカーの伊東が入れたボールに合わせたのはまたも上田。強烈なヘディングシュートはGKが体で弾いたものの、勢いが勝り、そのままゴールに吸い込まれ、日本がついに逆転した。
これまで負けたことのない国に自分たちの代で負けることになる、という恥を目前に、ブラジルに再び戦う意欲が生まれたが、歴史的快挙を目前にした日本は走力で上回り続ける。
鈴木彩艶のハイレベルで安定したセービングも光り、日本はこれまでの歴史の中で何度も繰り返されてきた「最終盤での失点による喪失」を起こすことなくタイムアップ。日本サッカー史に燦然と輝く一夜となった。
決勝ゴールを決めた上田は試合後、「(W杯優勝を)目指せる位置にいると思う」と、この勝利がもたらした自信を言葉にした。
■試合結果
日本代表 3-2 ブラジル代表
■得点
26分 パウロ・エンヒキ(ブラジル)
32分 ガブリエル・マルティネッリ(ブラジル)
52分 南野拓実(日本)
62分 中村敬斗(日本)
71分 上田綺世(日本)



