覆ったプロサッカー「マーケット」の大原則、世界一の収益プレミアリーグを後押しした「ボスマン判決」【欧州クラブの「世界戦略」がJリーグを滅ぼす】(2)の画像
世界一のリーグとなったプレミアリーグには、日本代表MF三笘薫をはじめ、各国を代表するスター選手がつどう。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 世界的な人気を誇るバルセロナとACミランの「国内リーグ公式戦」が、初めて国外で開催されることになった。開催地であるアメリカ、オーストラリアの人々にとって、憧れのチームの真剣勝負を生で観戦できる絶好の機会だが、サッカージャーナリストの大住良之は、この開催には「大きな危険」をはらんでいると警鐘を鳴らす。どういうことか? 

■テレビからの「放映権収入」が第一に

 本来、プロサッカーの「マーケット」とは、第一には、「ホームタウン」で開催されるホームゲームに訪れる地元のファンであり、第二には、試合やメディアでの露出を見込んだスポンサーであり、そして第三には、テレビからの放映権収入である。これが「大原則」である。

 プレミアリーグは、それまでの「イングランド・リーグ」では各クラブが独自にホームゲームの放映権を売っていた状況から、リーグが一括して管理・販売し、それをクラブに配分するという画期的な手法をとることで1992年にスタートした。当時勃興しつつあった衛星放送を使った多チャンネル化、契約者獲得競争の激化による放映権の高騰を見込んでのものだった。そして、その手法は見事に成功し、またたく間に世界一の収益を挙げるリーグとなった。

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