■プレミアリーグ隆盛の「皮肉な出発点」
それを後押ししたのが、皮肉なことではあるが、1995年に世界のサッカー界を揺るがした「ボスマン判決」だった。
それ以前のサッカーでは「保有権」という慣習が認められていた。選手との契約期間が満了しても選手は自由に移籍できるわけではなく、満了後の選手の移籍に関してもクラブは「保有権」に基づく移籍金を請求することができた。
欧州連合(EU)の司法裁判所が1995年12月15日に出した判決は、サッカー選手を普通の労働者とまったく同様に扱い、選手を拘束できるのは「契約」だけとし、「保有権」の完全廃止を宣言するものだった。それは当初EU加盟の15か国(現在は27か国、当時はイギリスもEUに加盟していた)だけを縛るもので、UEFAだけでなくFIFAもこの「サッカー界の慣習」の廃止に反対の立場だったが、現在では、世界中でEU同様の考え方となっている。








