■残りの21人に「適当な番号」を振って印刷
彼は以前のブラジル代表を思い起こし、知っている選手には同じ番号を振ろうと考えた。GKはカスティーリョである。1954年大会でも1番をつけ、レギュラーだった。だから1番。そこまではよかった。しかし、彼はそこで嫌気がさしてしまった。ブラジルの選手の名前はやたらに長く、しかも通常はニックネームを使うことになっている。「バウジル・ペレイラ」が、前大会もレギュラーとして出場していたMFジジのことであるとは、思いもしなかった。
そこで彼は根気を要する努力を放棄し、残りの21人に適当に番号を振って印刷に回したのである。その結果、この大会でレギュラーGKとなるジウマール(ジウマール・ドス・サントス・ネヴェシュ)は、なんと「3番」となった。右ウイングのガリンシャ(マノエル・フランシスコ・ドス・サントス)は「11番」、左ウイングのザガロ(マリオ・ジョルジ・ロボ・ザガロ)は「7番」という不思議な現象も生まれた。
そして「10番」は、エドソン・アランテス・ド・ナシメントという聞いたことのない選手に割り振られた。もちろんペレである。