
J1の第27節は、4ゴールを挙げて勝利したチームが3つもあった。そのうちの2つ、柏レイソルと京都サンガF.C.の勝ち方は、J1優勝争いの行方はもちろんのこと、今後の日本サッカー界に与える影響も大きいという。どういうことか? サッカージャーナリストの後藤健生が第27節の柏の浦和戦と京都のFC東京戦2試合を分析しつつ、その本当の意味を解説する!
■成功した「ハーフタイム」の交代
ハーフタイムに、柏レイソルのリカルド・ロドリゲス監督はCFの垣田裕暉に替えて、瀬川祐輔をトップで起用した。
トップなら、細谷真大というのが順当だが、ここにCFタイプではない瀬川を起用したところが、この交代の眼目だった。
実際、リカルド・ロドリゲス監督も細谷を使うつもりで、前半の35分頃からアップさせていたのだという。だが、ハーフタイムに判断を変えて瀬川を投入したのだという。
その理由については何も語らなかった監督だが、相手陣内でさらに深い位置でボールを回して攻めようというメッセージだったのだろう。
前半のようにペナルティーエリア外で回していても決定機は生まれない。さらに、深い位置で、相手のエリア内でボールを動かそうというのだ。
ターゲットになる細谷が入れば、選手たちは早めに細谷にボールを預ける選択をするだろう。だが、パス回しのうまい瀬川がトップなら、瀬川も使ってより深い位置でボールを回せる……。そうして完全にゲームを支配して、細谷は切り札として起用する……。
まさに、試合はリカルド・ロドリゲス監督の思惑通りに進んだ。