【2025年J2「第27節」サガン鳥栖VS水戸ホーリーホック「徹底分析」】“ミラーゲーム”で輝いた水戸20歳の「個の力」【戸塚啓のJ2のミカタ】(1)の画像
水戸ホーリーホック・MF齋藤俊輔  撮影/中地拓也

■水戸のU-20日本代表MFが鮮やかドリブル弾!

【J2リーグ第27節 8月23日 19時03分キックオフ 鳥栖 2ー2 水戸 駅前不動産スタジアム】

 まさしく「戦国J2」である。

 J2リーグ第27節が8月23、24日に開催され、首位の水戸ホーリーホックは23日、7位のサガン鳥栖とアウェイで対戦した。水戸は勝点51、鳥栖は勝点42である。どちらも勝点3がほしい一戦だ。

 水戸は4-4-2を主戦術とするが、この日は3-4-2-1の立ち位置とした。鳥栖と同じシステムである。森直樹監督は3バックのチームに対して、過去にもシステムを合わせたことがある。

 ミラーゲームでは、目の前の相手に負けないことが重要だ。ピッチのどのエリアで、誰が、マークを外すのか。剥がすのか。

 36分、水戸の若きアタッカーが「個」の力を発揮する。

 齋藤俊輔だ。自陣左サイドで味方のパスを受けると、鳥栖のボランチ櫻井辰徳に激しく身体をぶつけられる。倒れそうになるものの踏みとどまり、櫻井の前へコースを取ってドリブルを開始する。センターサークル左から一気にゴール前までボールを運び、1トップの渡邉新太が右から左へ走るのに合わせて、ペナルティエリアアークの右側のスペースで右足を振り抜く。ゴールの外側から巻き込む軌道のシュートが、右隅へ吸い込まれた。

 プロ2年目の齋藤はゴールデンウイークからスタメン出場を増やし、渡邉に次ぐ6ゴールを記録している。最大の特徴はドリブルだ。この先制点のシーンのように、単独でゴール前まで運ぶことができる。

 身体は細身だが競り合いに力強く、右足でも左足でもしっかりと足を振ることができる。水戸はドリブラーの津久井匠海が6月にRB大宮アルディージャへ移籍したが、齋藤が結果を残すことで攻撃の迫力が以前よりも増している印象だ。

 2005年4月生まれの20歳は、U―20日本代表に選出されている。現在のパフォーマンスを見れば、9月開幕のU-20ワールドカップの代表入りは確実だろう。

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