
J1昇格をかけたJ2リーグの戦いが激しさを増している。中でも注目は、ジェフユナイテッド千葉だろう。はたして、悲願ともいえる17年ぶりのJ1復帰はかなうのか。サッカージャーナリスト後藤健生が上位直接対決となった徳島ヴォルテス戦を踏まえ、古豪の今後を占う!
■激しく、そして「フェア」な戦い
J2リーグの上位直接対決となった第26節のジェフユナイテッド千葉対徳島ヴォルティスの試合は激しく、そしてフェアな戦いとなった。
前節終了時点で千葉が勝点45の2位。徳島が同44で3位という接戦。もちろん、まだ10試合以上残っているものの、J1昇格を考えれば2位と3位の違いは非常に大きいだけに、やはりこの上位同士の対決の重要性は明らかだ。フクダ電子アリーナには1万5222人の観客が集まった。
今シーズンは開幕から6連勝して、一時は首位を独走していた千葉だったが、5月から6月にかけて失速して順位を落とした時期もあった。だが、7月12日の第23節モンテディオ山形戦に勝利すると、第24節いわきFC戦の引き分けを挟んで、第25節ではRB大宮アルディージャに勝利して、ようやく安定した戦いができるようになってきていた。
試合は序盤から千葉が主導権を握った。3分には左サイドバックの日高大がサイドハーフの椿直起とのパス交換から突破してCKを獲得。8分には中盤でカットしたボールをすぐに右サイドに送って、サイドハーフのイサカ・ゼインがクロス。10分には椿が左からクロスとサイド攻撃を続けた。
中盤ではエドゥアルドが精力的に動いてボールを受けて積極的に展開。とくに、サイドハーフやサイドバックが上がる前方のフリーのスペースを利用するのがうまく、サイド攻撃をコンセプトとした千葉のサッカーには欠かすことができない働きをしている。
また、シャドウ的位置にいるカルリーニョス・ジュニオが下がってボールを受けてドリブルすることで、相手の守備陣形を攪乱する。
右サイドからはイサカ・ゼインの直線的で力強いドリブルが武器となっており、左サイドでは椿と日高が2人のコンビネーションでチャンスを作る。さらに、右サイドバックからは高橋壱晟がタイミングを見ながら高い位置まで上がってパス回しに参加したり、アーリークロスを入れたり……。
こうして、各プレーヤーの個性が際立ち、役割がはっきり決まっており、それらが絡み合って組織を作ることで、非常にシステマティックな攻めができていた。「完成度の高いチーム」という印象だ。