■「立派な紳士」が笛を吹いた!

 もともと、この人物はピッチ外にいて、試合の時間の計測を任された人だった。当然、当時としては高価な「懐中時計」を所持していなければならず、社会的な地位も高そうな「紳士」が選ばれていた。2人のアンパイアの意見が対立すると、2人はこの人物のところに行き、「お手間を取らせて大変申し訳ありませんが、どちらの判定が正しいでしょうか」と、礼儀正しく決定を委ねるようになる。

「委ねる、問い合わせをする」という言葉を、英語では「refer」という。そして、この動詞の語尾に「ee」をつけると、「委ねられる人、問い合わせを受ける人」という意味になる。「被雇用者」を「employee」というのと同じ使い方である。そこで、ピッチ外で時計を手に試合を見守っていた紳士は、「referee(レフェリー)」と呼ばれるようになったのである。

 やがて「レフェリー」は片方のアンパイアが下した判定が正しいと判断すると、笛を吹いて知らせるようになる。もうひとりのアンパイアの意見は不要になり、試合の進行がスムーズになる。警察官ではあるまいし、立派な紳士が笛を吹く姿は少し不思議だが、鉄道で車掌が発車の合図に使う笛がよく通るということで採用されたという。

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