■観客の「熱中症リスク」を下げるために…

 ワールドカップはサッカーの世界最高峰を決める大会である。世界中のサッカー選手が夢に見、サッカーファンがあこがれる大会である。その試合は、最高のコンディション下で行われなければならない。チームが、そして選手たちができるだけ快適に試合ができ、ファンが楽しく観戦できる時刻に設定しなければならない。あくまで競技を優先し、選手たちが通常試合をしている時刻、早くても15時以降をキックオフタイムにすべきだ。

 今大会にはいくつかの開閉式屋根あるいはドーム式のスタジアムがあるが、一方で観客席を覆う屋根さえほとんどないところもある。そうしたスタジアムでは、12時や13時キックオフというのは観客にとっても熱中症のリスクが高くなる。

 国際サッカー連盟(FIFA)は、ワールドカップからの収益で、すなわちワールドカップに対して支払われるテレビからのおカネで、4年間の活動資金の大半を稼いでいる。しかしだからといって、テレビの都合のままに選手やファンに苦痛を強いてもいいのだろうか。FIFAという組織は、何よりも世界中のサッカー選手とファンの存在に依って存在していることを忘れてはならない。その選手たちとファンにとって最も快適なキックオフタイムを決めなければならない。

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