後藤健生の「蹴球放浪記」第275回「1万ウォン札よ、さようなら」の巻(2)ホテル代は「日本の70%」、はるかに安い「交通運賃」、庶民を苦しめる「食事代」、世界に取り残される「日本」の画像
Eー1選手権終了後も、筆者はKリーグ取材などのために韓国に滞在を続けた。提供/後藤健生
■【画像】ハングル文字を作った「大王」が描かれた1万ウォンの「旧札」

 日本代表の優勝で幕を閉じた男子のE-1選手権。ほとんどの記者はすぐに隣国を後にしたが、蹴球放浪家・後藤健生は現地に残った。そこで見えてきた韓国の「最新マネー事情」とは?

■主要通貨より「0」が多い日本と韓国

 日本円は1ドルが145円程度のレートが続いています(遠い昔は360円の固定相場だった時代があり、また日本経済が最も強かった頃には1ドル=80円という今から思うと夢のような時代もありました)。

 つまり、ドルより「0」が2つ多いのです。ユーロに対しても、ポンドに対しても「0」が2つ多いのです。それで、よく外国人に「日本は経済大国なのに、なぜ円は主要通貨より0が多いのか?」と聞かれることもあります。

 これは、第2次世界大戦後のインフレのせいです。明治時代の初めは1円は約1ドルでしたし、1920年代頃も1円は2ドル台だったそうです。

 一方、韓国のウォンは、日本円よりもさらに「0」が1つ多いわけです。ドルやユーロに対しては「0」が3つ多くなります。

 一方で、韓国の物価は日本とそれほど変わりません。今回の旅行での実感では、ホテル代は日本の70%くらい。交通運賃は日本よりはるかに安い。そして、食べ物は日本並み、または日本以上に高かった印象です。とくに、高級料理店よりも庶民的な店の値上がりがはなはだしく、一般庶民はかなり厳しい状況のようです。

 つまり、昼飯は1万ウォン=1000円以上といった感覚です。

PHOTO GALLERY ■【画像】ハングル文字を作った「大王」が描かれた1万ウォンの「旧札」
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