■1年目の挑戦を受け入れるクラブ
この企画の中心となった森澤は現在26歳で、北森は23歳だ。前者は大学1年生から、後者は大学2年生からフロンターレでアルバイトをしている。筆者が初めて森澤に会ったのは彼が大学4年生の時で、挨拶の際、クラブのユーチューブについて深く話し込まれたことを覚えている。通常のアルバイトスタッフとは異なり、フロンターレでは幅広く、そして深く業務に関わることができる。
2人は若い戦力だが、このクラブの考えは浸透している。森澤は「学生時代から社会人の基礎を学びつつ、フロンターレってどういうクラブで、どういうところを大切にしているのか、そして、地域の人と直接触れ合って、そういう経験を社会人になってもしっかり生かせる環境は、この会社のすごいいいところ」と言葉に力を入れるのだ。
そして、「“若いやつが、何かまた言ってるよ”じゃなくて、ちゃんと1年目の人に対しても対話してくれるんです。当たり前かもしれないですけど、ちゃんと一人の大人として扱ってくれて、年齢に関係なく協力してくれる環境は意外とないんじゃないかなって思います」とも話すのである。
クラブとして「器」があるからこそ、クラブ公式HPでのプロフィール写真の差し替えや、ザ・マミィと河原創のサプライズ対談、さらに“クセが強すぎる認証アプリ”「河原認証」など、2人が描いたさまざまな企画に挑戦できた。先述した「河原そうなの? シート」も、詳細は書かないが、実現にはクラブ総出での力が必要だった。そのために、フットボール事業統括部 運営部の松坂一輝らも汗をかいたという。
クラブを面白くするため、そして、川崎市をさらに盛り上げるため、年齢も部署も関係なく、川崎フロンターレは全員で走り続ける。
(取材・文/中地拓也)
【「その3」へ続く】