
「めっちゃいいじゃないですか!」
「やりましょうよ!」
歯車がカチンとかみ合うように会話が盛り上がったのは、6月上旬のクラブハウスの廊下でのことだった。こうして生まれたのが、話題となった2つの企画である――。
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E―1選手権直前の鹿島アントラーズ戦で、ザ・マミィを招待してのさまざまなイベントを実施した川崎フロンターレ。その企画の中心となったのが、フロンターレのフットボール事業統括部 プロモーション部 イベントグループの北森達也と、フットボール事業統括部 プロモーション部 広報グループの森澤諒大だった。
チームに所属するMF河原創がザ・マミィの酒井貴士に似ているという一点だけで、コラボオファーを出したのだが、森澤は「似てることがきっかけではありますけど、ただのモノマネで終わらせたくなかった」と話すように、スタジアムに来てキックインセレモニーに参加してもらっただけではない。事前に麻生グラウンドにザ・マミィの2人を招待して河原との対談企画を実施するなど、さまざまな仕掛けを施した。
その中で話題になった企画の一つが、「河原創を探せ!」である。『ウォーリーをさがせ!』よろしく、川崎のユニフォームを着用した多くの酒井の中に、河原を紛れ込ませたこの企画は、想像以上の難易度とクオリティもあって、SNS上で話題となった。
実はこれ、もともと予定していた企画ではなかった。冒頭で述べたように、麻生グラウンドにザ・マミィを招待した際に、森澤、北森を含めた4人のスタッフが廊下で立ち話をしていた際に出てきたアイデアを急遽、形にしたものなのだ。河原創に似たサポーターだけが座れる「河原そうなの? シート」も、ここで出てきたアイデアである。
「フロンターレのスタッフ間で話していると、ふと降りてくるんですよ」
森澤はこう話す。その言葉には、このクラブの空気が十分に含まれていた。