■カウンターの形から「先制」
試合内容も、非常に濃厚で激しいものとなった。
序盤からボールを握ってチャンスを作り続けたのはホームの川崎。
7分に右サイドの家長昭博から中央、そして左にパスをつないで展開。山本悠樹のパスを受けた伊藤達哉が入れたロビングを、走り込んだ脇坂泰斗がボレーで狙う。さらに、8分にも山本のスルーパスを受けた伊藤がドリブルで切れ込んでクロスを入れたが、誰にも合わずに逆サイドに抜けた。9分には左サイドバックの三浦颯太のクロスにファーサイドにいた山田新が合わせたが、ヘディングシュートは枠を捉えられない。
GK早川友基の好セーブも含めて、鹿島はゴール前に分厚い守備を構築。川崎がこれを崩せずにいると、25分に鹿島がカウンターの形から先制する。
左センターバックの金太鉉(キム・テヒョン)が、右前方への斜めのロングボールを入れた。川崎の三浦が難なく処理するかと思われたが、松村優太が三浦の裏から走り込んで、そのままドリブルで持ち込む。そして、高井が寄せてくる逆を取って左サイドにやさしいパスを出すと、走り込んだレオ・セアラが冷静に流し込んだ。
鹿島は32分にも、GK早川からのボールにレオ・セアラが走り込んで再び決定機を作った。このときは、川崎のCB丸山祐市との競争にレオ・セアラが競り勝ったもの。
ボール・ポゼッションでは川崎が大きく上回ったものの、鹿島は割り切ってロングボールを使って勝負に出たのだ。とくに、川崎側から見た左サイド、つまり丸山、三浦のサイドが狙われた。
試合前から、このサイドを狙うプランがあったのか、それともロングボールに対する相手の対応を見て「ここが弱点」と判断したのかは分からないが、明確に狙いがあったのは間違いない。