■相手チームの「ボトル」をゴクゴク
私が興味深く感じたのは、そこに東京Vの選手も歩み寄ってきたことである。後半27分にFW齋藤功佑との交代で入っていたFW熊取谷一星である。今年、明治大学から加入したばかりの「新人」だが、臆することなく川崎のスタッフが持つ保冷バッグの中に手を突っ込んで新しいボトルを1本取り出し、ゴクゴクと飲んで、空のボトルをタッチラインの外に投げ捨てたのである。
Jリーグでは、こうした光景はどの試合でも見る。相手チームのテクニカルエリアに並べてあるボトルを手に取って飲む選手も珍しくはない。そして「取られた」チームも平然としている。サッカーは「点を取り合うゲーム」であり、「ボールを奪い合うスポーツ」であるが、「水」は、分かち合うものなのに違いない。
私が監督をしている女子チームでは、練習中の飲水のタイミングで、ボトルを手にした選手が、隣に来たチームメートに渡し、彼女が飲み終わってから自分が飲むという姿をよく見かける。面倒くさい選手ばかりだし、なかなか強くはなれないが、「このチームの監督はやめられないな」と思うのは、そんなときである。








